管理会社の変更は、総会の普通決議で決められます。2026年4月1日に施行された改正区分所有法では、普通決議は総会に出席した区分所有者とその議決権の、それぞれ過半数の賛成で可決するのが原則です(管理規約に別の定めがあれば、規約の定めに従います)。準備でつまずきやすいのは、新しい管理会社による重要事項説明会と招集通知の期限、そして招集通知に載せる「議案の要領」です。この記事では、可決ラインの数え方、総会日から逆算した準備の日程、議案書に載せる項目を順に整理します。
この記事でわかること
管理会社の変更を総会で可決させるには、「総会が成立しているか(定足数)」と「賛成が足りているか(可決ライン)」の2段階を満たす必要があります。管理会社の変更は管理規約の変更にはあたらないため、4分の3以上の賛成が必要な特別決議ではなく、普通決議で足りるとされています。
参照元:マンション管理会社の変更は普通決議で可能?手続きと注意点を解説(横浜市)
改正後のルールで押さえておきたいのは、議決権行使書や委任状を提出した組合員も「出席」に数える点です。総会当日に会場へ来る人が少なくても、事前に議決権を行使した人が多ければ、その人数を母数に可決ラインを計算します。欠席しそうな組合員からどれだけ議決権行使書・委任状を回収できるかが、可決を左右すると言えます。
参照元:区分所有法・被災区分所有法の改正について(法務省民事局)
40戸(1戸1議決権)のマンションで、当日出席12人、議決権行使書10人、委任状8人の計30人が出席した場合を例にします。ルールごとの成立条件と可決ラインは、次のとおりです。
| ルール | 総会が成立する条件 | 可決に必要な賛成 |
|---|---|---|
| 改正後の区分所有法の原則(規約に定めがない場合) | ―(※) | 出席30人・30議決権の各過半数=16 |
| 標準管理規約(令和7年改正後) | 議決権総数の過半数=21以上の出席 | 出席した議決権の過半数=16 |
| 標準管理規約(改正前) | 議決権総数の半数以上=20以上の出席 | 出席した議決権の過半数=16 |
| 改正前の区分所有法の原則 | ― | 全40人・40議決権の各過半数=21 |
※改正区分所有法で新たに定足数が設けられたのは、特別決議です。
標準管理規約は令和7年10月の改正で、基本の定足数を「議決権総数の半数以上」から「過半数」に見直しました。この例で出席がちょうど20だった場合、改正前の標準管理規約では総会が成立し、改正後の標準管理規約では成立しません。自分のマンションの数字を出すときは、管理規約の次の条文を確認してください。
管理会社変更の総会準備は、重要事項説明会と招集通知の期限から逆算して組み立てます。重要事項説明は、新しい管理会社が契約を結ぶ前に、管理業務主任者が区分所有者全員に向けて契約内容を説明するものです。法律で管理会社に課された義務のため、管理組合が省略を認めても、説明をなくすことはできません。
参照元:マンション管理業者の業務について(Q&A)(国土交通省 関東地方整備局)
もう一つ日程に入れておきたいのが、現在の管理会社との契約の終わり方です。現契約は委託契約書に定められた解約予告期間を過ぎないと終了しないため、新しい管理会社の管理開始日は、解約を申し入れる時期によって決まります。総会の準備と並行して、現契約の解約条項も確認しておきましょう。候補会社の選定から引継ぎまでの全体の流れは、管理会社変更の手順・流れにまとめています。
総会日を起点に、期限のある作業を逆算すると次のようになります。
| 時期 | やること | 決まり |
|---|---|---|
| 招集通知を出す前 | 理事会で議案を確定し、新しい管理会社と重要事項説明会の日時を決める | ― |
| 総会の2週間前まで | 招集通知を全組合員に発送する | 標準管理規約 |
| 重要事項説明会の1週間前まで | 重要事項説明書を区分所有者全員に交付し、説明会の日時・場所をマンション内に掲示する | マンション管理適正化法 |
| 規約・細則で定めた締切まで | 議決権行使書・委任状を回収する | 各マンションの規約 |
| 総会の前まで | 重要事項説明会を開く(総会当日の決議前に開く例もある) | マンション管理適正化法 |
重要事項説明会を総会当日の決議前に開く場合、重要事項説明書は総会の1週間前までに配る必要があります。招集通知に同封すれば、2つの期限を1回の配布で満たせます。また、改正区分所有法により、招集通知の発送から総会までの期間は1週間より短くできなくなりました。規約に「緊急時は5日間まで短縮できる」と書かれていても、その規定は使えません。
参照元:マンション管理業者の業務について(Q&A)(国土交通省 関東地方整備局)、令和7年マンション標準管理規約改正(国土交通省)
改正区分所有法の施行後は、全ての議案について、招集通知に「議案の要領」を載せる必要があります。議案の要領とは、組合員が賛否を判断できる程度に議案を要約したものです。「〇〇株式会社と管理委託契約を締結する」という一文だけでは、委託費や業務内容が分からず、賛否を判断する材料として不足しやすいでしょう。
総会で決議できるのは、招集通知であらかじめ示した事項だけです。次のような手続きの不備があると、決議の有効性を争われる可能性があります。
議案の要領を詳しく補う資料として、招集通知には議案書を添えます。議案書に載せたいのは、次の6項目です。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 1. 変更を検討した経緯 | 現在の管理で起きている課題と、理事会で検討した経過 |
| 2. 候補会社を選んだ理由 | 比較した会社の数と、選定の決め手 |
| 3. 候補会社の概要と実績 | 所在地、管理実績、担当者の体制 |
| 4. 新旧の委託内容と委託費の比較 | 業務範囲、管理員・清掃の仕様、委託費を並べた比較表 |
| 5. 契約期間と管理開始日 | 新しい契約の期間・開始日と、現契約の解約時期 |
| 6. 想定される質問と回答 | 委託費や管理員・清掃の体制がどう変わるかなど、組合員から出そうな質問への回答 |
1〜5は審議の土台になる情報で、6は「聞いていない」「納得できない」という不満を総会当日まで持ち越さないための準備にあたります。
参照元:マンション管理会社の変更は普通決議で可能?手続きと注意点を解説(横浜市)
外される側の現管理会社に議案書づくりを頼みにくいときは、理事会が主体となり、新しい管理会社の協力を得て準備を進める方法があります。重要事項説明会を開くのは新しい管理会社なので、説明会の段取りとあわせて総会資料の準備も分担すれば、理事会の負担を軽くできます。
| 理事会が決めること | 新しい管理会社が手伝えること |
|---|---|
| 総会日と議案の確定 | 議案書・新旧比較表の下書き |
| 招集通知の発送 | 重要事項説明書の作成と説明会の開催 |
| 総会での採決 | 想定質問への回答の準備、住民説明会での説明 |
私たちカシワバラ・デイズの管理組合運営サポートでは、理事会・総会の調整から議事録の作成まで対応しています。
私たちは、大阪を中心に関西圏で、管理会社の変更を検討する管理組合の総会準備をサポートしています。これまでサポートした管理組合の総会では、否決はゼロです。
| サポート内容 | 理事会にとって変わること |
|---|---|
| 総会資料の作成 | 議案書や新旧比較表を一から作らずに済む |
| 住民説明会のサポート | 住民から出そうな質問への回答をそろえた状態で総会を迎えられる |
| 開発営業の担当者による伴走 | ヒアリング・見積もりから総会、引継ぎまで窓口が変わらない |
| 管理業務主任者28名・マンション管理士9名の在籍 | 重要事項説明や規約の確認を、資格を持つ担当者に相談できる |
| 基本情報16項目と引継書類一覧表に基づく引継ぎ | 可決した後の切り替えまで見通しを持って進められる |
引継ぎの期間は原則3ヶ月で、状況によっては最短0〜1ヶ月で対応した実績もあります。
議案書の準備や説明会の進め方など、管理会社変更の総会に向けたご相談をお待ちしています。現状のヒアリングから概算見積もりまでは無料で対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
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